金髪碧眼はエロい子だと僕の直感が告げる

5/5
417人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
 僕は尻もちをついただらしない恰好のまま、その子の背中をただただジッと見ていた。次第に豆粒のように小さくなりついには見えなくなってしまった。  嵐の前の静けさならぬ、嵐の後の静けさ、こういう時を的確に表す言葉を生憎ながら僕は持ち合わせていない。  そんなことよりもあの子一体何者だ、完璧なタイミングにも関わらず、僕をうまくかわしたとでも言うのか。それに「残像だ」ってどこの中二病ですか、そんなことあるわけないでしょ。 「謎が深まる一方ではないか……」  それに加えて、彼女の放った言葉、確か「ジッタイゼロ」とかいっていた気がした、そもそも「ジッタイゼロ」って何語なんだ?サウジアラビア語とかなのか?  あれ、そういえば、僕の『高校2年生ってギャルゲの主人公に在り来たりな設定だから、角で美少女とぶつかっちゃおう大作戦』は失敗したことになるのか!?  な、何てことだ!僕の完璧な計画が失敗するだと!?あり得ない、僕の努力は無駄だったとでも言うのか……  閑静なる住宅街の道のど真ん中で、頭を抱え込んでもがき苦しむように転がりまわる、男子高校生が、そこには居た。  というかそれ僕なんだわ。  しかし、人生とは時に残酷で、僕の通う学校の方角から登校完了の時間を過ぎたことを知らせるチャイムが、風に乗って僕の耳にまで届いた。  新学期早々に遅刻する不名誉を僕は負ってしまったようだ。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!