たくさんの愛情とほんのちょっぴりの羨望を

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私の彼はエリート商社マン。 かっこよくて、英語もペラペラで、頭がいいの。 私の大好きな人。 そんな彼との今日はデートの日。 彼は、有名ホテルの最上階のレストランでディナーをごちそうしてくれた。 「春、大好きだよ。」 食事の後にコーヒーを飲んでいると、彼がそう囁く。 「うん。私も大好きだよ。」 私も、自分の思いを伝える。 でもね、でもね、彼に言えないことがあるんだ。 私は彼のことを世界中の誰よりも愛しているけれど、たまにね、つらいんだ。 だって、私は彼と違って、 フリーターで、平凡な容姿で、頭は悪い。 彼に釣り合わないんだよ。 彼がうらやましくて、彼の隣りにいるのがつらくて、たまに耐えられなくなる。 大学生の頃はこんなにつらい思いを抱くことはなかったのになと回想する。 大学2年生の頃に、彼から告白されて付き合い始めた。 初めは、私は彼のことが好きではなかったけれど、彼は私のことを本当に大切にしてくれた。 そんな彼の事を私もいつのまにか好きになっていたのだ。 付き合い始めの頃から、彼は頭の良さの片鱗を見せつけていたけれど、そんなに気になることはなかった。 「春は、ばかだな」 そう、彼が冗談交じりに言いながら、私の頭を軽くはたくのが好きだった。 けれど、社会人になり、彼が有名企業に入ったことで、私は彼との違いをつきつけられた。 生まれ持った能力も、住む世界も何もかもが彼とは違うんだって。 彼といると、平凡どころか劣った自分を正面から突き付けられて、つらい。 正直逃げだしたい。 けれど、それよりも大好きだから一緒にいたいという気持ちがいつも勝る。 大好きだよ。世界中の誰よりも愛してる。 だけどね、私はあなたのことをひがんでいます。
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