1章

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夕食後、心地よい満腹感にさいなまれソファーで横になり眠っていると、頭に響くけたたましいサイレンに春輝は飛び起こされた。 何事かと窓を開けベランダに出る。 「あれは、何だ?」 その目に飛び込んで来たのは、町が暗闇の中を照らし燃え盛る光景だった。 その方角は、 「曽木区か!?」 曽木区は白鳥駅とは逆に位置する場所だか春輝の脳裏に瞬間的に白鳥駅の黄色いテープで封鎖された改札の風景がフラッシュバックした。 嫌な予感がする。 ニュースを知った時よりはるかに現実的に抱いた胸騒ぎに不安が押し寄せた。 しかし同時に奇怪な好奇心も沸々と沸き上がってきていることに春輝は内心驚いていた。 気が付くと部屋の鍵もかけず春輝は飛び出していってしまった。 服もまともに選ばず、長袖のカットソーを掴み曽木区へ駆けていく後ろ姿は、どこか楽しげに見えた。 闇夜に怪しく浮かび上がる町に一体何が起こっているのか、春輝はまだ知らない。 春輝の長い長い一夜の悪夢が始まった…。
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