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「おい、山内!」
「あ、な、何? 三浦君…」
学校の休み時間。教室ではあまりに対照的な2人が話していた。
先に声を掛けた三浦と呼ばれた男子は、髪を金に染めたツンツンヘアーに、制服を着崩すという不良の代名詞とも呼ばれる格好。
それに比べ、山内と声を掛けられた男子は、何もいじっていない髪に、目を隠すほど伸びた前髪。制服の着崩しは一切見当たらない。そして極め付きは、現代ではつける人の少ない分厚いレンズの眼鏡。
そんな格好で下を向き無口ならばそれは、根暗意外の何者でもないだろう。
「今日の放課後、いつも通りに屋上に来い」
「………」
「返事はどうしたよ!」
「は、はい…」
「ははっ。ちゃんと来いよ、根暗君」
三浦は自分の席へ戻ってゆく。
山内はそれを見届けた後、俯いた。周りからは山内の表情はおろか、前髪のせいで顔すら見えない状態だ。
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