-0-

2/5
前へ
/168ページ
次へ
 「おい、山内!」  「あ、な、何? 三浦君…」  学校の休み時間。教室ではあまりに対照的な2人が話していた。  先に声を掛けた三浦と呼ばれた男子は、髪を金に染めたツンツンヘアーに、制服を着崩すという不良の代名詞とも呼ばれる格好。  それに比べ、山内と声を掛けられた男子は、何もいじっていない髪に、目を隠すほど伸びた前髪。制服の着崩しは一切見当たらない。そして極め付きは、現代ではつける人の少ない分厚いレンズの眼鏡。  そんな格好で下を向き無口ならばそれは、根暗意外の何者でもないだろう。  「今日の放課後、いつも通りに屋上に来い」  「………」  「返事はどうしたよ!」  「は、はい…」  「ははっ。ちゃんと来いよ、根暗君」  三浦は自分の席へ戻ってゆく。  山内はそれを見届けた後、俯いた。周りからは山内の表情はおろか、前髪のせいで顔すら見えない状態だ。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

601人が本棚に入れています
本棚に追加