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山内はただ何かをこらえ、震えていた。
周りはそれを見てクスクス笑う。怯えている、みながそう思ったからだ。
周りはみな、傍観者。被害は自分に来ないと確信し、笑い、楽しむ。
その時、山内がポトリと消しゴムを落とした。当然拾うために床に手を伸ばす――
「いっ…」
「あっ、ごっめーん! うっかり踏んじゃったぁ」
三浦の仲間の女が山内の手を踏みつけた。勿論わざとやったことは明白だ。女はキャハハッと笑いながら去って行く。
山内は何も言わず、消しゴムを拾って手を引っ込める。そして踏まれた方の手をもう一方の手で握り締める。
それを見て、また周りはクスクス笑う。
しかし、周りはおかしな点に気づくべきだった。
山内は………消しゴムを使う作業を一切していなかったと。
山内の表情が見えていればこの状況は少なからず変わっていただろう。なんせ山内は、三浦に誘われた後からずっと、
笑っているのだから。
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