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    *  「おらっ」  「うっ」  放課後、山内は約束通り屋上に着ていた。  山内を三浦を含む男子数人で殴る蹴るを繰り返している。顔は狙わず、服で隠れる部分だけをねらっていた。  「ふぅ。今日はこんくらいにしといてやるよ」  最後に一発、溝うちに蹴りを入れた後三浦達は笑いながら屋上から出て行く。  三浦達の声が遠ざかり、聞こえなくなったところで山内は屋上で大の字になって寝転ぶ。  「……ん」  山内は右手で眼鏡を外し、長い前髪をかきあげる。そのお陰で今まで見えなかった目が露わになる。  赤い。血のような赤い瞳がそこにはあった。  ネクタイを緩め、きっちり留めてあった第一ボタンを外す。  「…あはっ」  口が自然と弧を描く。  両腕で体を抱きしめ震える体を必死に抑える。
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