71人が本棚に入れています
本棚に追加
「おーい。」
部屋でキョロキョロしている叔母に、源太は声をかけた。
「あっ、源太、ごめんね。
待たせたかしら?」
黒いスーツを上下に纏い、桜井洋子が振り返る。
おおよそ40代とは思えないスタイルに、顔立ち、自分の母親と血が繋がっているとは信じられないと源太はいつも思う。
「いーや。
連れは今、トイレ行ってるから。」
「あら、やだ。
連れなんて言葉を使うようになったのね~源太ちゃんは。
ていうか、女の子なんでしょ?」
「うるせーな。」
頭をボリボリかく源太に洋子は目を細める。
「あんな小さかった源太が、彼女、ねぇ。」
「違うよ、ばかっ!
あいつだよ。
おばちゃんも会ったことあるだろ?」
「ん~照れちゃて!
それよりおばさんは止めてよね!
私は花の独身よっ!」
「‥どくだみの花か?それ‥」
・・てか全然かわいくねえし。
ぷうと頬を膨らませる洋子に、源太は呆れたように言い放った。
二人がそんなやりとりをしている間に用を済ませた陽菜はトイレからか細い声で
「げんちゃーん。」
と呼び続けていた。
最初のコメントを投稿しよう!