43人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
翔ちゃんが作ってくれるココアは美味しいなぁ。
そんな事を思いながら、さくらは最後の一口を飲み込んだ。
「さくらちゃん、そろそろ帰ろうか。」
さくらがココアを飲み終わったのを確認すると、翔ちゃんがそう言って立ち上がった。
さくらは頷くとソファーから降り、翔ちゃんの隣りに着いてリビングを出ようとした。
とその時、何かにつまづいた。
――えっ…?
床に向かって倒れていく身体。
さくらは思わずギュッ。と目を瞑った。
―――――――
身体に軽い衝撃。
が、傷みは全く感じない。
さくらは恐る恐る瞼を開けてみた。
すると、さくらは翔ちゃんの上に乗っかる様にして抱き締められている。
翔ちゃんが助けてくれたんだ…。
――!///
ホッとしたさくらは、胸の違和感に気付く。
て、手が……///
さくらが固まっていると、翔ちゃんはさくらを抱いたまま上半身を起こし口を開いた。
「さくらちゃん、どこも痛いとこない?」
横から顔を覗きこんで心配する翔ちゃんに、さくらは小さく頷く。
すると、翔ちゃんは『はぁー。良かったぁ。』と抱き締める腕に少し力を入れた。
さくらの胸に当たっている翔ちゃんの掌が、その小さな胸をキュッと包んだ。
「あッ…///」
思わず小さな声を漏らして震える身体。
は…恥ずかしい///
どうしよう…///
思わず出てしまった声に、益々恥ずかしくなり赤面するさくら。
「ごめんね、俺が空気清浄機出しっぱなしにしちゃったから…。」
さくらが一人恥ずかしがっていると、翔ちゃんは抱き締めていた身体を離してさくらを立たせた。
「/////」
恥ずかしさで翔ちゃんを見る事ができない。
さくらは、赤面する顔を見られたくなくてうつ向いた。
すると、頭上で翔ちゃんが小さくクスッ。と笑った。
「じゃ、帰ろっか。」
翔ちゃんはそう言うと、さくらの手を取りリビングを後にした。
その後、さくらの家に着くまでずっと手を繋いでくれた翔ちゃん。
さくらは先程の事が恥ずかしくて、ずっと翔ちゃんの顔をまともに見る事はできなかった…。
最初のコメントを投稿しよう!