始まりの終わり

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『続いてのニュースです。』 点いた画面の向こうには、生真面目そうなニュースキャスターが黙々と原稿を読み上げていた。 綺麗に整えた七三分けがさらにその印象を決定強くする。 『今日午前五時四六分頃、東京都六本木にて、無差別連続殺人事件が起きました。』 六本木で? まさか自分の住んでいる町でこんな大事件が起きるとはな。 『一時間もの間に、一般市民六人が鈍器のようなもので撲殺されました。犯人は未だ逃走中で、行方がわからない模様です。』 六人とはまた派手にやったもんだ。 しかし俺にはSPがついている。 こんなもの関係ないだろう。 『遺体は損傷部分が多数あり、歯形と見られる部分が…』 綾夢のリモコンにより、画面は再び真っ暗へと切り替わる。 まばゆい光を放つシャンデリアが画面に反射し、漆黒の闇を幻想的に映し出す。 「私に見せたかったのはこれだけか?」 純は綾夢から差し出されたリモコンを机に置き、ゆっくりとこちらへ向き直る。 「左様にございます。今日は朝から××会社にて話し合いがありますので六本木内を車で移動して頂く事になります。」 純は手に持ったメモ悵を淡々と読み上げる。 「それで心配になったか。私が襲われるとでも思っているのか?」 綾夢は小さい頃、親から護身術を教わっていた。 そこらの人間では太刀打ちできない強さを持っている。 「際目コンツェルンが企業競争に進出してきた今、綾夢様が命を狙われる事はおおいに考えられます。」
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