前を向くということ

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すると女の人は、背筋を伸ばして俺に言う。 「…私の名前は『理瀬』…」 「りせ…さん?」 すると、理瀬さんはうなずく。 「そうよ。 紅くん…私は、貴方が修行する予定の『道場』から来たの。 貴方、約束の時間になっても全然来ないんだもの。 2時間以上待ってても来ないから、私のほうから来……………………」 理瀬さんがそう言い終える前に 「うわぁああああああああああ!!!!!!!!」 ダダダダダダダ!!!!!!! 俺は『マジ悲鳴』を上げながら 虎の元へと全力で走る!!!! そして、熟睡している虎を必死で揺さぶる!!!! 「虎!!!起きて!!!!! 来ちゃったんだよ―!!!!! あちらさんのほうから、お迎えが来ちゃったんだよー!!!!!!! 虎!!助けて!!!!!! ホントに助けてー!!!!!!!!」 そんな俺に、理瀬さんは一言。 「お…お迎えが来たって… 人をそんな、死神みたいに………」 俺が必死で揺さぶるも、虎は全く目を覚まさない。 「ふふふ…ユリエ…もっと近くに来いよ… 俺には分かってんだよ…お前は、俺が欲しくて欲しくてたまらないんだろ……………… むにゃむにゃ…」 とか、何やら最低な寝言を言っている…!!!! どうしよう…このままじゃ、無理矢理に修行させられる…!!!! 理瀬さんは、俺に歩み寄りながら言う。 「無駄な抵抗は辞めて、私と共に道場へ行くわよ」 「ひぎゃぁあああああああああ!!!!!!!! おたおた、おたすけぇええええええええええええええっ!!!!!!!!!!」
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