12人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は思わず、虎に聞き返す。
「…今、なんておっしゃいました?」
すると虎は
「だから―、修行だって言ってんだろ。
お前という、男のクセに顔だけ綺麗な駄目人間には修行が必要なんだよ。
少しは俺を見習えよな―。
紅…
お前というやつは、そうやってよー、親父が金持ちだからって、独り暮らししながらも金銭的な意味で甘えてるじゃねーか。
お前、男としてさ、それでいいと思ってるワケ?
今の時代、女だって立派に働いてんだぞ。
それなのにお前というヤツは……………」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!!!!!!
気が向いた時だけバイトして、あとは女に寄生してる虎にだけは言われたくないから!!!!!
ていうか、本当にどうしたんだよ虎!!!!!!!」
すると虎は、俺に一通の手紙を俺に差し出した。
「これは……」
その手紙を受け取って、読んでみると……………
「父さんからだ…」
山奥の大きな屋敷に住んでいる、俺の金持ち父さん。
その父さんは、こんな内容の手紙を虎に送っていた。
『拝啓 虎くん
紅の友人である、君に頼みがある。
あの、弱っちくてどうしようもない紅を
そろそろ…そろそろ
本当に、いい加減、強くしてくれないだろうか。
私は父親として、紅の貧弱さには深い深い心配しか感じることが出来ない。
どうか、よろしく頼む。
もちろん、報酬…
つまり、きみの大好きな現金は好きなだけ渡す。
そんなわけで、どうかよろしく。
敬具』
「う…うぇえ~~~……………」
俺は無意識のうちに、体から力が抜け
その場に崩れ落ちた…。
なるほど…
虎が、妙にやる気マンマンだったのにはそんなしょーもない理由が…………
最初のコメントを投稿しよう!