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「…イチ…起きて」
「ん…?…」
俺の顔に掛かる髪を退かすヤマトが目に映る
「そろそろ行こう…」
「…ケータイ鳴ってた?」
「鳴ってた」
マジか…気づかなかった
「ほら…起きて」
「…わかった」
伸びをして上半身を起こす
壁に凭れて息を吐いた
「…イチ」
「…ん」
立ち上がったヤマトの手を掴んで立ち上がる
「…ゴミは?」
「先に捨てといた」
「ありがと」
ヤマトと体育館に向かう
「…あれ」
その途中でヤマトが立ち止まった
「どうしたの?」
窓の外を見つめるヤマト
「揉め事だ…イチ、悪いけど先に戻ってて」
「いいよ、ここで待ってる」
目を細めて見つめるとヤマトは俺の頭を撫でて来た道を戻っていった
それからすぐにヤマトが他の先生と走っていくのが見えた
ヤマトはやっぱり先生なんだよな…
俺の前ではいつも教師らしいところを見せない
兄貴だけど兄貴じゃなくて
俺のすぐ近くにいて自分の事よりも俺の事を気に掛けてくれる
…大切な存在
俺はヤマトに何かしてあげられてるのかな
ふとヤマトたちから離れた所に本木とコウタを見つけた
日陰になった所で女子に囲まれて何か話しているようだ
やっぱ2人はモテるんだな…
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