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バイクに跨って寮を飛び出した そのまま走って目的のマンションの駐車場にバイクを入れる 階段を上がって息を切らしながら目的の階に着いた 「…はぁ…はぁ…っ」 預かった合い鍵を使って中に入る 「っ…」 リビングに入って現実を突きつけられた 他の部屋を準に覗いていく もう一度リビングに戻って部屋を見渡した 「…っ…」 崩れるようにその場に座り込んだ 涙が床を濡らす 何もなくなった室内 テーブルもカーテンも全て無くなった部屋が胸を締め付けた いなくなった ハジメはもう…俺のそばにいない 何も言わずにハジメは俺の前から消えた 「っ…」 本当はずっと前に気づいてた 電話しても繋がらなくなった でも受け入れられなかった ただケータイを新しくして俺に連絡するのを忘れてるんだって言い聞かせた 認めたくなかった ずっとそばにいてくれると思ってたのに もういない 声をあげて泣き叫びたい でもその声も出て来ない ただひたすら涙が流れるだけで 俺はその涙を拭うことも出来ずに泣き続けた
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