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廃虚のビルの一室に足を踏み入れた 「あれ…響さんは?」 響(ひびき)さん、スバルの兄貴がいない 普段ヒビキさんが座ってる椅子に座るスバルは紫煙を吐き出した 「ドライブしてくるって…」 「そうか…ジンのこと言ったのか?」 ソファに座るとスバルは目の前に移動した 「まだ言ってない…言おうと思ったんだけどすぐに出てった」 灰皿に煙草を押しつけたスバルは背凭れにもたれ掛かった 「今度…イチを呼び出す」 「それで?」 「いつも通り…俺たちのやり方でいく」 俺を見つめるスバルは目を細めた いつもの目 壊すことに快楽を感じる目をしていた 「…お前ら兄弟は絶対敵に回したくないな」 「クスッ…褒め言葉として受け取っとく」 スバルは笑いながら煙草を取り出して火を点けた スバルから視線を外して窓の外を見つめる 「…雨が降りそうだな」 「あぁ…せっかくの満月なのに残念」 満月を雲が隠す 一気に暗くなる外に俺の中で何かがざわついた
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