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空が暗くなった事に舌打ちする 「たく…せっかくのドライブなのによ」 しょうがなくビルに戻ろうと小道に入る 「…あ?」 目の前に見えてきた公園 そこに1台のバイクが停まっていた 「…気晴らしするか」 目を細めてバイクを停める そのまま暗い公園を歩いた 雲行きが怪しいせいで人の気配がない 「…違うところにいるのか?」 ただ公園に停めただけで いないのかもしれない 「……あ…」 前方に見えてきた遊具のある場所に人影が見えた 目を凝らすとブランコに座って空を見上げる人間 曇った空なんて見て何が楽しいのか そんな事を思った時だった 雲の隙間から満月が顔を出して辺りが明るくなる 「っ…」 空を見上げる人間の髪が金色に輝く 綺麗な顔が月明かりに照らされた 女…いや男か 中性的な顔をした男の頬を伝う涙があまりにも綺麗で 無意識に俺はソイツに近づいていった ブランコに近付いて男の顔がはっきりと見えた 「…ハッ…」 笑いと共に口角が上がった 目を細めて近づく 俺に気づいた男は空から俺に視線を移した 「よう…ジン」 「…誰」 まっすぐ見つめてくるジンの前の柵に腰掛けて見つめ返した
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