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この日の仕事は、モデルを殺す仕事だった。
「憐[れん]貴方に頼みたいの」
受付係のほのかが、俺の部屋にやってきた。
「チッ。
ノックぐらいしろよ」
ここはマンションの一室。
俺たち殺し屋の住みか。
そして、事務所。
1階の102号室が受付。
2階の206号室が遊技室。
他の部屋は全て殺し屋の部屋。
俺の部屋は19階の1903号室。
「あら、今日も一段と不機嫌だこと。
仕事なんだから、ちゃんと殺ってきなさいよ」
ベッドに横になっていた俺は、起き上がった。
「場所」
メンド臭いけど、仕事ならしかたがない。
俺は6歳の頃から仕事であれば人を殺してきた。
10年たった今でも、それは変らない。
「これに書いてあるわ。
これが、部屋の鍵ね」
ベッドの横にある机の上に封筒を置いて、ほのかは出ていった。
20歳のほのかも殺し屋として育てられてきた。
俺たちは、捨て子。
そして、爺さんによって殺し屋として育てられた。
ここに居る皆がだ。
俺は封筒を取って、パーカーを羽織り、帽子をかぶった。
実行するのは夜だ。
だけど先に下見。
昼12時32分。
俺は部屋を出た。
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