デウス・エクス・マキナ

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 *  娘はそれから、度々少年の店を訪れた。マキナ・クロックに興味を持ったらしい娘は、少年の作業を飽きもせず見つめていた。時には他愛のない話をしたりして過ごした。  父がいなくなってから客足も減り、一人で作品作りに勤しむ時間が多くなっていた少年にとっては、楽しいひと時であった。  あるとき、少年は心の内を思わず娘に話してしまったことがある。どのような話をしていてそうなったのかは定かではない。ただ、自然と寄り添いたくなってしまう親しみやすさと温かさが、娘にはあった。  少年は悩んでいた。マキナ・クロックの職人として、腕には絶対の自信があったが、なんといっても少年はまだまだ若かった。若くして店を継いだ少年に対し、世間の風当たりは強い。  常連の客の中には、いまだに良くしてくれる者もいたが、目に見えて客足が減っていた。自分の実力が認められればと思い、意気込んでいた時期もあったが、それも長くは続かなかった。客の訪れることのない工房で、孤独に過ごす時間は少年の心を徐々に冷やしていった。父以外に身寄りのなかった少年は、不安に押しつぶされて、どうにかなってしまいそうだった。 「良い育ち方をしていますね」  少年が振り絞るように漏らした話を聞くと、娘はあっけらかんとそう言った。  少年は絶句した。
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