12話

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「そんな事言われたって――仕方ないじゃない!」 「おお落ち着いて二人とも!」  一気に険悪になりはじめた二人の間に、狼狽した加賀が仲裁に入った。  圭子の視界を遮るように蓮美の前に体を割り込ませると、ぶんぶんと両腕を振り回す。  香澄の死で情緒が不安定になっているのか。ピリピリとした空気を放つ女性二人に、僕はただ成す術もなく動揺した。  おろおろと戸惑いながら、加賀を挟んで対峙し合う蓮美と圭子を眺め遣る。  と、その時。 「――蓮美さん、救急車はいつ到着するか分からない状況なんですよね?」  落ち着いた彰吾の声が割り込んで来た。
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