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1話
僕がその洋館を訪れたのは、決して長くはない冬期休暇の始め頃の事だった。
大学のサークル仲間に連れられて。男女六人、新年をいわくのある洋館で迎えようと、妙な目的に付き合わされた。
因みに、サークル名はオカルト研究会。
学内でどのサークルにも所属していない僕は、その中の一人と運悪く知り合いだったせいで、半ば強制的にその頭数に入れられてしまったのだ。
県境にある山奥の森の中。電車で片道二時間半、そこからバスで一時間。一日に数本しか運行していないバスを降りると、更に徒歩で一時間。
コンビニもなければ住宅もまばら。一面に広がる田園風景を見ながら、足が棒になるまで歩いてようやく辿り着いたのがこの洋館だった。
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