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まるで手を離したら死ぬと言わんばかりの勢いで、太い首にしがみつく。
運悪く僕の隣りに座っていた彰吾は、男に抱き着かれた事が苦痛だったのか。微かに震える吐息を洩らした。
しかし人肌の安心感を求める僕の手は、彰吾にぴたりと張り付いて離れない。
そう。僕はこういった怪談が大の苦手だった。
「カノちゃん最高~!」
「かぁーわぁーいぃーいぃ~!」
途端に弾かれたように笑い出す女性陣。
僕のオバケ嫌いを知ってから、彼女達は事ある毎に怪談話をするようになってしまった。面白がってからかっているのだという事は分かるのだが、正直止めて欲しい。
理解出来ない存在というものが怖いのだ。
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