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3話
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館内の廊下は無駄に長く、そして薄暗かった。
採光の為なのか、数多く設けられた窓からは周囲に広がる森の様子が見渡せる。
これがもっと暖かい季節ならば見る者の目を楽しませてくれるのだろうが、生憎と今は冬だった。
寒々とした枝が身をくねらせながら伸びる緑の少ない森は寂しげで、先程耳にした怪談とも相まって、何とも言えないおどろおどろしい雰囲気を醸し出している。
僕は大木にしがみつくコアラよろしく、彰吾に抱きかかえられたまま廊下を進んでいた。
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