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外は随分と風が強いようで、時折窓がガタリと大きな音をたてる。
周辺には住宅や商店などの建物が一切ないせいで、基本的に館内は静かだった。
耳に痛いくらいの静寂に包まれていると言っても良い。
そんな静まり返った所に何の前触れもなく窓が鳴り、僅かに遅れてビュウという風の咆哮が耳に届けられて来るのだ。
その音は思いの外大きく響き、僕はその度にビクリと肩を跳ねさせた。
強風に煽られた壁がミシミシと軋みを上げ、震えながら彰吾にしがみつく。
すると僕のつむじに微かな苦笑が落ちて来た。
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