3話

3/8

264人が本棚に入れています
本棚に追加
/401ページ
「本当に怖がりだな」  目を上げると、やれやれと言わんばかりの表情で、こちらを見ている彰吾と目が合った。  僕は反論の意味をこめて、きっとその目を睨み返す。  その際、少々目が潤んでしまったのは不可抗力と言えるだろう。  そして寒さと怖さの余りぶるぶると震えていて、全く迫力がないのも承知の上だった。  彰吾はそんな状態の僕に至近距離から睨まれて、うっと息を詰まらせる。動揺したように目を泳がせると、慌てて僕から顔を背けた。  気持ちは分かる。  涙目の男に睨まれても、ビビるどころか気持ちが悪いだけだろう。
/401ページ

最初のコメントを投稿しよう!

264人が本棚に入れています
本棚に追加