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廊下は、果てしなく長かった。
向かって左手の壁には同じ形の窓が幾つも並んでいる。そして右の壁にはこれまたずらりと同じ規格の扉が並んでいるのだ。
板張りの床の上には単調な幾何学模様が織り込まれた、長い絨毯が敷かれていた。
それが唯一の変化と言えるのかも知れないが、それも同じパターンの模様が延々と繰り返されているせいで、妙な錯覚に陥ってしまう。
まるでちっとも前に進んでいないのではなかろうか、という気分になってしまうのだ。
そんな不安に駆られた時。
前方から見覚えのある人物が歩いて来た。
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