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額の中央から左右に流れるように整えられた、茶褐色の髪。
肩に届くか届かないかくらいの長さに揃えられたそれは、端正な容貌を縁取るように伸ばされている。
健康的な小麦色の肌をした美青年が歩み寄って来た。
「……?」
目を懲らして見ると、その青年は両腕に小柄な少年を抱きかかえている。
青年の太い首に腕を回してしがみついている少年は、柔らかそうな黒髪をしており、髪と同じ大きな黒い目を見開いてじっとこちらを凝視していた。
髪と目の色とは対照的に、その肌は抜けるように白い。
「――って、僕?!」
どうにも見覚えのある顔だと思ったら、それは彰吾に抱えられた自分自身の姿だった。
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