3話

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 廊下の突き当たりに、等身大の大きな鏡が設置されている。  一点の曇りもなく磨き上げられた鏡は、蔦が絡まる精緻な彫刻の縁取りがされていた。  それはその後ろにある壁紙と同じ意匠で、鏡自体が違和感なく壁の一部として同化している。  そして長い廊下を映し出す事で、見る者に果てしなく廊下が続いているような錯覚に陥らせる効果を与えていた。  遠近感が狂わされるのだ。
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