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「――で。加賀さんは何でまたゴーグルを……?」
蓮美への好意を隠そうともしない加賀に、彰吾は苦笑を噛み殺しながら問いかけた。
するとその質問を待っていましたと言わんばかりに、加賀はきりりと表情を引き締める。
上にずり上がったゴーグルの位置を直しながら、どこからか一本の包丁を取り出して来た。
「今から玉葱を切ろうと思ってな」
「あぁ、なるほど」
それで何故フライパンを持っていたのかと、つっこみたい衝動を僕は無理やり押さえ込んだ。
恐らく僕と同じ疑問を抱いたであろう彰吾は、納得したように深く頷く。
「それで、何を作るつもりなんですか?」
全く表情を動かす事なく、次なる質問を投げかけた。
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