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僕は加賀の右足首を持ち上げると、慎重にスニーカーを脱がせた。
そして屈んだ自分の左膝の上にその足先を乗せると、さっとスニーカーについた破片を払い落とす。
そうしてからまた丁寧に加賀の足に履かせてやった。同様に、左足の破片も落としてやる。
「チ、チワワくん……!」
すると頭上から、感極まったような加賀の声が降って来た。
「はい?」
見上げると、唇を真一文字に引き結んだゴーグル男がこちらを見下ろしている。
蛍光灯の明かりを反射するゴーグルが眩しくて、僕は直ぐさま目を伏せた。
「奥ゆかしい……ッ!」
「――はい?」
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