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ビィ~ン!
一拍遅れてそちらを振り向くと、そこには衝突の余韻で小刻みに震動する万能包丁の姿がある。
「――なっ?!」
何故包丁が?
危険極まりない物体の飛来に、僕は今更ながらに戦慄を覚えた。
驚愕に目を見開いて、包丁の軌道を確かめるようにゆっくりと正面に目を戻す。
するとそこには、片方のゴムバンドをすっぱりと断ち切られた、無惨なゴーグルがあった。
ずるりと顔面からずり落ちて行くゴーグルの下からは、蒼白になった加賀の顔が現れる。
「すいません、手が滑りました」
カツンと硬質な音を響かせて、落下したゴーグルの音を合図に。その場の緊迫した空気とは裏腹な、落ち着いた声がかけられて来た。
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