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自分に注がれる視線が、妙に生暖かい。
まるで小動物を見るような目で見られている。
――ような気がする。
「いっぱい食べて、大きく育つのよ?」
怪訝に眉を顰める僕に向かって、蓮美がどこか慈愛に満ちた表情でそう言った。
どういう意味だろうか。僕が小さいと言いたいのだろうか。
確かに身長は百六十と小柄だし、体つきも逞しいとは言い難い。
しかしだからと言って、二十歳を過ぎた今からたくさん食べてもこれ以上の発育は見込めないだろう。
成長期はとっくに過ぎたのだ。
僕は複雑な表情で皿に目を落とすと、食事に専念する事にした。
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