7話

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 一階には大浴場とも呼べる風呂があるのだが、さすがにこの時間からそちらを利用する気にはなれなかった。  脱衣所を兼ねる洗面所で手早く衣服を脱ぎ、折り畳み式のサッシを開ける。  ピンクベージュのタイルで埋め尽くされたシャワー室に足を踏み入れると、ひやりとしたその感触に一気に鳥肌が立った。  急いでコックを捻り、全開にする。  寒気で冷え切った給湯管から放射されるのは、先ずは冷たい水からだ。  僕はそれが温かな湯に変わるまで、その場で足踏みをしながら待つ事になった。  すると、タイルに埋め込まれた大きな鏡が視界に映る。
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