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僕は湯気で白く曇って行く鏡を見ながら、深々とした嘆息を零した。
つくづく、加賀や彰吾が羨ましい。
せめてもう少し身長が欲しかったと、無い物ねだりと知りながらも彼等を羨む気持ちが拭えなかった。
気が付くと鏡全体が白く曇っており、僕はようやくシャワーが湯に変わっていた事を知った。
急いでシャワーの下に移動すると、頭から温かな湯をかぶる。
冷え切った体がじんじんと痺れ、白い肌が熱を取り込み次第に薄桃色に上気して行った。
その心地好さにほっと長く吐息すると、僕は全身に満遍なく湯を当てる為に後ろを向く。
するとシャワー室と脱衣所とを隔てるサッシが、僅かに開いているのが目に映った。
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