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「僕、ここに来た意味あんの?」
不必要なほどに近付いて来たその迫力のある美貌から距離をとる為に、僕は一歩退いてから問い返してみる。
彰吾はオカルト研究会というインドアなサークルに所属している割には、健康的な褐色の肌と鍛えられた体つきをしていた。
一見細身に見えるがしっかりと筋肉のついたその体躯は、女性で言う抜群のプロポーションというやつだろう。
そして彫りの深い精悍な顔立ちに、人当たりの良い柔らかな物腰。
彰吾は所謂モテる男と呼ばれる種族だった。
そんな女に困る事のない彼が何故こんなサークルに身を置いているのかと言うと、友人であるサークルの部長に頼まれて仕方なくという事らしい。
部長の目的は言わずと知れた、客寄せパンダである事は明白だ。彰吾を餌に少ない女性メンバーを確保しようという魂胆だろう。
現に今回の企画に参加した女性メンバーの殆どが彰吾目当てだ。
幾ら男女比率を均等にする為とはいえ、そこに僕の存在は本当に必要なのだろうか?
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