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僕はシャワー室の入り口に歩み寄ると、サッシを大きく開いてみた。
狭い脱衣所内に目を走らせて、何も障害物がない事を確認する。
そうしてから、少々乱暴なくらいにぴしゃりと固くサッシを閉じた。
冷気が遮断されて、室内に温かな湯気が充満しはじめる。
それにほっと吐息して、脱衣所側を向いたまま背中に湯を浴びた。
すると暫く後。
ギギィと微かな軋みを上げて、目の前で閉めたはずのサッシがまたゆっくりと開かれて行く様が見えた。
「…………」
ちょうど外からシャワー室内の様子が見えるくらいの間隔を空けて、そこでサッシはぴたりと止まる。
僕は深々とした嘆息を零した。
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