9話

2/11
前へ
/401ページ
次へ
「むがっ――むぐぅうう~!」  僕はせめて口を塞ぐ何かから逃れようと、必死に顔を背けた。  するとそれまで口腔を這い回っていた物体が、ぬるりと引き抜かれる。  代わりにがぶりと固い物で、叱り付けるように下唇を挟まれた。 「ぴゃっ?!」  そのまま、やわやわと数回に渡って唇を挟まれる。  そこで僕はようやく気付いた。  これはもしかして、歯ではないのか。唇を甘噛みされているのではないのか。  そう気が付いた瞬間、頭を殴られたような衝撃が僕を襲った。  何だか分からないが、幽霊にセクハラをされている。
/401ページ

最初のコメントを投稿しよう!

264人が本棚に入れています
本棚に追加