2話

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.  加納 聖。  この苗字から、既に顔馴染みとなっているサークルメンバーは僕の事をカノちゃんと呼ぶ。 「――でね? 誰もいないはずなのに、人が歩き回る足音がするらしいのよ!」  荷物を片付け終えたメンバーは、一階にある居間に集まっていた。  三十畳ほどはあろうかと言う洋間には、珍しい事に暖炉が備え付けられている。  板張りの床には毛足の長い絨毯が敷かれており、その中央にはコの字型に華美な装飾のソファーが置かれていた。 「それでね? 前の所有者の息子が三年ほど前に蒸発しちゃったらしくてね。 異変はその頃から起きるようになったらしいのよ!」  僕の向かいには女性メンバーの一人である結城蓮美が腰掛けていて、先程から熱心にこの洋館に纏わる怪異を語っている。
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