10話

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「まさか本当に出るなんて……冗談じゃないわ!」  香澄はガタガタと震えながら、自分自身を抱きしめるように腕を組み合わせている。  その目は恐怖に見開かれ、顔面は蒼白だった。  やがて香澄はどこか虚ろな目で床の一点を見つめていたかと思うと、 「私――帰る」  ぽつりと小さな呟きを洩らした。
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