生徒会

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春、まだ肌寒さの残る上旬。今日から新学期が始まったウチは、新しいクラスの列に並んで恒例の朝会を聞いていた。 (眠…、朝からこんなん耐えられへん。) あくびを噛み殺し、目を擦っては襲い来る睡魔と闘う。隣を見れば、皆姿勢を正して先生の話を聞いていた。 こんな長ったらしい朝礼を静かに、それも集中して聞くなんて尊敬に値する。ウチには到底真似することが出来ないと思った。 (…さすが金持ち学校、育ちが違うわ。) うへえ、と心の中で舌を出す。 …そう、ここは坊っちゃんや嬢ちゃんが通うようなお金持ち学校。私立皇蘭学院。小中高一貫のエスカレート式になっていて、全寮制なので学園と言っても間違いないだろう。 ウチはそんな学校の理事長の親戚で、とある事情により高校から編入してきたのだが… (一年も過ごせば大体は慣れたけどね、) ふう、と息を吐く。慣れたにしても、やはり圧倒されることは幾度とあるものだ。 …眠気が引かない。朝礼の先生が話を終えて壇上から降りたとき、何度目かのあくびを噛み殺そうとして、周りがやけに騒がしいことに気が付いた。 (……なんや…?) 不思議に思って周りをきょろきょろと見回す。皆の視線を追って顔を上げれば、壇上に立つ一人の男子生徒を視界に捉えた。 「僕、杉谷隼人は今年度の生徒会会長に就任することになりました。」 マイクを通して響く声に、周りの生徒たちが一層ざわついた。壇上の男子生徒ーー杉谷隼人がそれを静める。そして彼の演説は続いた。 …杉谷隼人。この学校で過ごす間、何度も耳にした名前だ。あまり深く関わったことはないが、どうやら評判がいいらしい。綺麗なビジュアル、成績優秀、内面も良しで女子からとても人気が高いのだ。ウチも遠巻きから見かけては、噂通りかっこいいなあと思っていた。そんな人を朝会で拝められれば、皆が騒ぐのも頷ける。 「…最後に、この学院の生徒の代表としていろいろ活動していこうと思っています。…以上。」 ぱちぱちと拍手が鳴る。 杉谷くんは一礼して壇上から去った。
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