悲劇の始まり

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「夜分遅くに申し訳ございません………」 文頭からこれか。俺は、イクスとアムに聞こえる範囲で声を潜ませ、続きを読む。 「私は、レナンド社の一開発者です………?」 「一体、何を言いたいのでしょうか?」 「さあ?」 三人で頭を傾げ、謎に思いつつも、続きを読む。 「カッコ、このメールが届いた時には、既に私の意識はこの世に無いものだと思います…………って………!」 「きな臭いですよ、このメールの件」 「だろうな。…………なので、最後に、英雄である貴方に、このデータを託します…………お願いします…………うーん、名前は書いてないな」 一通り読んで気付いた事は、レナンド社で何かが起こっていること、そして、罠である可能性だ。 「一応、罠って可能性は………」 「うーん、罠って訳ではなさそうですよ?メールの文章に復元システムを掛けたら書きかけの名前がありましたし。ですが、A、Lまででしたが………」 「確かに、罠なら名前まで書く必要あるかな?私だったら書かないよ。気付かれたら先制撃ち込まれるし…………」 イクスとアムの言葉から、罠の可能性は無くなった。つまり、真正の、事件だろう。 「よし、データを開示するぞ」 俺は、二人にそう言い、添付データを開いた。 すると、そこには、レナンド社のゲーム絡みの機密情報があった。 「………イクス、アム」 「分かっています。翔さん、腕輪をパソコンに接続して下さい」 俺は、イクスの言う通りに腕輪をパソコンに接続する。 直後、メールのデータが腕輪に転送された。 「サンキュ。あとは、イクスとアムもコピーしてメモリに保存だ」 「もうしてあるよ、お兄ちゃん」 アムの言葉を聞いて、俺は頷いて答える。 「分かった。なら、イクス」 「はい?」 「このメールのデータを完全に消去しろ」 「はい、分かりました」 こんなデータ、ピノン達に見せたら絶対厄介事になる。 だから、俺だけで何とかしなければならない、と俺は判断した。 そして----- 「ああ、ウィルか?」 と、ウィルに電話を入れた。
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