悲劇の始まり

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俺はアークセラフィムの格納庫から輸送機にイグニスを乗せ、コクピットに乗ってシステムを立ち上げる。 あの戦争以来、戦力になるものは全て軍の施設の中に移った。が、輸送機など、民間用のものは少しだが、残された。 俺もウィルもアークセラフィムから統合政府に軍としての所属は変わったが、完全にアークセラフィムとの関わりが無いわけじゃないから、輸送機の使用許可はすぐに出た。これが外部だと、二、三日は掛かる。 『翔、あのデータだが………』 輸送機のエンジンを始動させたと同時にウィルから通信が入る。 「………わかっている。もしも、罠の場合、俺は………」 お前達の敵になる、と言いかけた口を閉じる。 『----だろうな。ま、信じてるぜ?大将ど・の?』 「OK、その時はまずお前から狙おう」 俺の言葉の続きを察して言ってくれたようだ。 だから、俺は考えつく冗談で返した。 『恐い恐い』 「---さて、お喋りはこれくらいにして----」 とウィルとの通信を最後にしようとしたその時、 『ちょぉーっと、待ったぁぁぁぁ!』 という五月蝿い声が通信を遮った。 『ちょっ、五月蝿いってなんですか!?』 「人の思考に介入するな、ミナ」 そう、輸送機のレーダーに、ミナのラングレットと、瑠那のジェダイトが写っていた。 『…私も、いる』 「それは知ってる。……何か用か?」 と、俺は悟られないように、二人に聞く。 すると、 『あ、はい、翔達について行こうと思いまして』 『……全部、聞いた。言い逃れは出来ない』 「つまり、ついて行くから乗せろ、拒否権は無い、か」 全部聞かれていたのかよ………。それだけ慌てていたか、勘が鈍ったか、だな。 それに、知っているなら、既に巻き込んでいる。それに、残せば消される可能性もある。 「翔さん…………」 イクスも悩んでいるのか、やや頼りない声になりつつも俺に聞く。 「……わかっている。乗れ」 仕方ない、巻き込んでしまったなら、連れていくしかない。 だから、俺は二人にそう言った。
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