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「いやいや、すみませんねぇ~!」
と、コクピットに入ると同時に喧しいと言える声で言うミナ。
「………翔」
と、ミナとは対照的に、静かに言う瑠那。
意外にも個性のバランスが取れているな、と思った俺がいた。
「いい、気にするな、瑠那。ミナは少しだけ反省してほしいが」
「なぜ私はそうなるんですか!?」
と大袈裟な態度を取るミナに、
「五月蝿い、喧しい」
ときっぱり答えた。
「……酷い……」
ミナは落ち込みながらそう言った。
「さて、ふざけるのはここまでだ」
と、俺は口調を厳しいものにし、さっきまでの空気を変える。
「今、俺達は惑星アマガンに向かおうとしている」
「先生!惑星アマガンって、どういった所ですか?」
と、勢い良く俺に聞いてくるミナ。
「ああ、惑星アマガンは、自然が八割、人工二割の惑星で、広大な森林と、数々の川、その周辺には原住民族が幾つもある。しかし、その民族の中には、A・Dを神と信仰する部族があったり、悪魔の化身と畏れる部族もある」
「じゃあ、悪魔の化身と畏れている部族の所に行ったら?」
というミナの質問に、
「それなら大丈夫だ。十二の時に大体の部族の特徴、文化は覚えている。基本的には村を移動させないから、場所もほぼ記憶済みだ」
となんてこと無い、と言うように答えた。
「………アンタ、化け物ですか?」
そしたら、ミナから人外発言をされてしまった。
俺はそれをスルーしよう。
「………で、惑星アマガンまではターミナルからゾルブしても、時差が何日かある。今、学校の方には俺達の休学届けをメールで送った。………送られてきたデータが事実なら、これを政府に出して終了なんだが、嫌な予感もする。だから、上手くは言えないが、そうならないようにするしかない」
「………具体的には?」
「迅速且つ暗躍で行く」
「「(…………)了解」」
二人が頷き、輸送機はオートでターミナルまで移動する。
『こちら、ターミナル・コントロール。そこの輸送機、所属を』
「こちら、民間軍………じゃ無かった。統合地球政府、特務隊、アークセラフィム」
『……アークセラフィム………!貴官の名前と階級をどうぞ』
アークセラフィムの名前を聞いて早口になった管制官。
当たり前だ。アークセラフィムは先の大戦の英雄が揃う部隊だからな。
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