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その数日前-----
「じゃあ、大学とかの進路、しっかり決めろよ。以上、解散!」
と松本先生の一言で終礼が終わり、やっと帰れるようになった。
「はぁ、進路、か…………」
俺、大宙翔は現在紅月高校三年生。進路決定で悩ましい時期だ。
「どうしたの、翔くん?」
と、聞く少女は、ピノン・ウィザード・ジーナス。俺の彼女一号。
「ああ、進路、どうするか、で悩んでいただけだ」
帝国との戦争、そして、地球政府との戦い----俺のケジメをつけたあの日から、既に四ヶ月。地球標準日付で6月、銀河標準日付で7月になった。
戦いの傷は大きいが、徐々に復興の兆しが出てきた。
しかし、今の俺には、進路という重大な分かれ道が目の前にある。
このまま卒業して、アークセラフィムで働くか、大学に行くか、の分かれ道。これだけは間違えたくない。
そんな俺の表情を見て、ピノンはクスクスと笑った。
「………何故笑う?」
「え、だって、翔くんの事だから、既に決まっているものだとばかり思ってたから……」
と、言いつつも、笑うピノン。
「あのなあ、俺だって悩むんだぞ」
「はいはい、そうだね」
「適当に流すな!」
全く、ピノンは………。
「ってか、ピノンは進路決定したのかよ?」
と、反撃とばかりにピノンに聞く。
すると、
「うん、先生になろうかな、って」
「即答かよ………」
すんなり答えられてしまった。
「だって、翔くんみたいにマルチな才能は無いから」
そして、手痛いカウンターが決まった。
「何も言い返せない………」
「ふふっ、今回は、私の勝ちね」
何を競っていたんだよ。
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