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「ねえ。織姫と彦星って凄くロマンチックじゃない?」
「どこが? 全然ロマンチックだとは思わないよ」
7月7日―――
僕は幼馴染の夏凛(かりん)に誘われて街を見渡せる小高い丘の上に来ていた。
地べたに腰を下ろしながら、夜空に輝く夏の大三角形を見上げて。
「えー……なんでよ? だって1年に1回しか会えないなんてとっても素敵じゃない」
「馬鹿だなぁ、夏凛は。そもそも1年に1回しか会えないって言うのがおかしいんだよ」
「……なんで? 本当はもっといっぱい会ってるのかな?」
「違う違う、むしろ逆だよ、織姫と彦星は地球からそれぞれ25光年と16光年離れているんだ。光年っていうのは光の速さでも1年掛かる距離ってことな?」
「うん」
「で、そこから計算をすると、実際のベガとアルタイルは7光年半離れている事になるんだよ」
「へー……春吉(はるよし)ちゃんは詳しいね」
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