プロローグ

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街が燃える。 血の臭いがする。 周りには魔物がうろつき、破壊の限りを尽くしていた。そんな中、少年は物陰に隠れ、動かなくなった幼い妹を抱えひたすらに静寂を待った。 「…音が止んだ?」 少年は物陰から密かに外の様子を窺った。そこには魔物の軍隊が列を成して街から出ていくところだった。 少年は叫びたい気持ちを必死に抑え軍隊が見えなくなるまで待った。 「…やっと行った。」 少年は抱えていた妹を背負い小高い丘へと向かった。 丘の頂上に着くなり少年は穴を掘り、その中に妹を置いた。 「ごめんな…竜華。兄ちゃんがもっと…しっかり…しと…ウグッ、けば…こんな…ヒック、ことには…ならなかった…のに…な……。」 そして少年は何かを決心したかのように涙を拭い、妹・竜華の上に優しく土を掛けて埋めた。 「兄ちゃん強くなるからな。絶対に強くなるからな。だから竜華も安心して眠るんだぞ。今日は俺も一緒に寝てやるからな。だから…安心…し…て……」 そこで少年の意識は闇に沈んだ。
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