0人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱりか!!!!」
有希は全速力で少年のもとに駆け寄り、少年に自分の来ていた上着を被せる。
「!!?」
少年は驚いたように目を見開くと、ビー玉のような瞳を有希に見せた。
「いじめか?いじめにあったのか?」
有希の言葉が理解できなかったのか首を傾げる。
「あのな、何があったかはしらないが、全裸はよろしくないぞ!日本には猥褻罪ってのがあってだな、外を裸で歩いてはいけないっていう約束があるんだ・・!!」
「・・・・人間はなぜ服を身に着ける?他の動物は身につけていない。600万年前、俺が記憶した限りではお前達はそんな着飾っていなかったと思うが?」
「・・・・・・君いくつ?」
「覚えていない」
「・・・・ママは?」
「ママ?」
「パパは?」
「パパ?」
話にならない事に気がついた有希は小さく溜息をついた。
「なんでここに居るんだ?迷子か?」
「迷子ではない。降りる場所を間違ったのだ」
「・・・そっか。じゃあまずは警察に行くか?電車できたのか?」
「・・・・質問の多い奴だな。ここの土地は力がでなくて困る。このままでは帰りたくてもオーディン山には帰れまい。・・・・女、しばらく俺をお前の住まいに置け」
「あ?」
何とも口の達者なガキだと、拳が前方に出るのを押さえて笑みを作る。
これぞ大人の成せる技だ。
「ボク?
悪いがオニーさんにも事情があるんだ。
家出の理由は聞かないから家には帰れ。親が心配するだろ?」
「・・・いいのか?このまま俺を引き渡しても?」
「は?」
少年がニヤリと意地悪そうに笑う。
「俺がお前の上着だけ来た状態で外を歩くのはマズいんじゃないのか?
さっき言ってたよな、全裸で外を歩くのはよくないと。
俺の上着の下はソレだ。
怪しまれるのが普通では?
被害が出るのは貴様だ」
こんな生意気なガキは見た事がない。
おまけに頭がよく切れる。
最初のコメントを投稿しよう!