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有希は観念したかのように両手を上げると「降参」といって苦笑した。
「テメーみたいに可愛くねーガキ招くのは心苦しいが、言い訳くらい聞いてやろうじゃねえの」
そういって立ち上がると、有希は手を少年の前に差し出した。
「?なんだ?」
いきなり差し出された手に困惑の表情を浮かべる。
「有希だ。
俺の名前。お前の名前は?」
「・・・・・神」
「・・ふざけてんのか?」
「ふざけていない。」
少年は真剣な顔で有希を見上げる。
有希は溜息をつくと少し考えるように上を向いた。
「・・・じゃあ俺はお前をゼロと呼ぶ」
「ゼロ?」
「何も持ち合わせていないからゼロだ」
「・・・・単純」
「うるせえよ、とっとと付いてこないと置いてくぞ」
有希の言葉に慌てた少年はぎゅっと有希の手をつかむ。
「!!」
(へえ・・かわいいとこあんじゃん)
気づかれないように小さくクスッと笑いながら、自分よりも随分と小さな手を握り返した。
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