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少女はまだ知らない。
自分の運命の歯車が、回り始めていた事に・・。
「裕よ、聞いて驚け!!今朝の俺の給料、計5万!!」
朝早くから戦車のようなテンションで、やる気のなさそうな男に話しかける。
「・・有希・・それ今朝の話やろ?」
「当たり前」
有希と呼ばれた女は、察しの通りこの物語の主人公である。(一応)
「お前、何連勤なんよ?5日は寝てないんやないんか?」
「え、フツーに7連勤」
「・・・・・はあ。お前よくその後大学来れるよな?一応この大学5本の指に入るガッコーやったと思うけど?」
「学校で寝てるからいいんだよ」
「・・ノートどうするん」
「頼む前に女子が見せてくれるけど?裕と違って俺、モッテモテだから」
(皮肉か!!!)心の中で裕は叫ぶ。
そう、この女・・いや、今は男だが、彼女は2つの顔を持っている。
昼は男、夜は女。
昼は聖應大学1のイケメン「有希」、そして夜は
歌舞伎町1のキャバ嬢「有希」として。
以前、男の装いをするのは仕事上の被害に遭わないようにするためかと聞いた事がある。
しかし有希は違う顔色を見せた。
おそらくそれは彼女自身の心の問題。
有希の家は母子家庭だ。
家庭崩壊はしていない。
ただ彼女自身闇を抱えている、それだけ。
親友に対してでさえ、今日も俺らは自分を封じた。
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