プロローグ

2/2
前へ
/31ページ
次へ
「ガキ、力を望むか?」 弾丸のような雨が降りしきる荒地で、一人の男が倒れた少年に問いかける。 「……力なんて、いらない。俺は……平和を望むッ!」 少年は雨で濡れているのか、涙なのか鼻水なのか分からないほどのぐしゃぐしゃの顔で叫ぶ。 「ふん、平和か……。だったらお前が造り上げてみな、平和な世ってやつを。俺も手伝ってやるよ」 少年は男の言葉に心を打たれたように固まる。 「俺が……?」 「そうだ、あくまで俺は協力者、実行するのはお前だ。どうだ、やるか?」 男が少年に手を差し伸べる。 「………………」 少年はその手を無言で掴み、立ち上がった。 「いい返事だ……。」 男がそう言ったのと同時に落雷が轟音を響かせた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加