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「仕事の後の一杯がわからん奴は、ホントに可哀想……という事で、帰り送れよな」 「は!?」 やられた――。 最初からこのつもりだったのかと気付いても、後の祭り。 「……まあ、正嗣兄ぃの奢りだし……いいか……」 「さっすが真琴、物分かりがいい」 彫りの深い顔が、嬉しそうに緩んだ。 「じゃ、もう一杯頼もかな」 「馬鹿ちん」 一分もしないうちに二杯目に突入しそうな正嗣の腿を、真琴は今度こそ力いっぱい叩いた。 背の高い正嗣が車で窮屈な思いをしなかったのは幸いだった。 「最近の軽って、広いなー」 「ホントですよねー」
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