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助手席の背もたれを軽く倒してくつろぐ正嗣は、のんびりと安全運転そのもので車を走らせる真琴をちらりと見た。 その眼差しは、"ジャックナイフ"と例えられる普段のそれとは少し様相が異なっていた。 「……なあ、真琴」 「はい」 「お前――彼氏いるの?」 「いたら、正嗣兄ぃと二人きりでご飯に行けないでしょ」 真琴ははにかんだ。 「彼氏の作り方もよくわからないし――女友達とばかり遊んでるから、余りその……焦りもないというか」 「成程ね」 信号待ちの間に、ちらと様子を伺う――正嗣の口許が緩むのを、真琴は目の端に捉えた。
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